ブログ

歯と歯の間の虫歯はどうやって治す?隣接面う蝕について解説

「最近、歯と歯の間が黒ずんできた気がする」「フロスが引っかかる感じがする」
このようなことに心当たりはありませんか?

実はそれ、歯と歯の間に虫歯があるサインかもしれません。

歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが溜まりやすい場所です。そこにできる虫歯は「隣接面う蝕」と呼ばれ、自分では見つけにくく、知らないうちに進行してしまうことも。

そこで本記事では、歯と歯の間の虫歯(隣接面う蝕)の特徴や見つけ方、治療法について解説します。早期発見・早期治療が大切なので、ぜひ参考にしてください。

隣接面う蝕(りんせつめんうしょく)ってなに?

隣接面う蝕とは、歯と歯の間にできる虫歯のことです。歯と歯の間は、歯ブラシが届きにくく、歯垢(プラーク)が溜まりやすい場所。歯垢の中には虫歯の原因となる細菌が潜んでおり、歯垢を放置すると虫歯になってしまうことがあります。

実は、歯ブラシだけでは歯の汚れを約60%しか落とせないのをご存じですか?歯と歯の間の汚れをしっかり落とすには、歯間ブラシやフロスといった補助清掃用具を使うことが大切です。しかし、令和4年歯科疾患実態調査では、歯間ブラシやフロスの使用率は50.9%と2人に1人しか使っていないのが現状です。

特に、歯が重なり合っている部分にできた隣接面う蝕は、自分ではなかなか気づくことができません。そして厄介なことに気づかないうちにどんどん進行してしまい、最悪の場合、神経を取り除く治療が必要になってしまうこともあります。

そうならないためにも、定期的な歯科検診によりプロの目でチェックしてもらうことがとても大切なのです。

歯と歯の間の虫歯はどうやって見つける?

歯と歯の間の虫歯(隣接面う蝕)は、自分では見つけにくいのが厄介なところです。見つけ方の一つ目は、歯と歯の間が黒ずんでいるかどうかです。鏡を使って歯と歯の間をよく見てみましょう。虫歯が象牙質まで進行した場合は、黒くなることがあります。
ただし、初期の虫歯は色が変わっていないこともあるので注意が必要です。

もう一つの方法は、フロスが引っ掛かったり、切れたりしないかをチェックします。虫歯になると歯の表面はザラザラになり、フロスがスムーズに通らなくなります。

また、歯と歯の間に黒い穴があいて食べ物が挟まりやすい状態は、虫歯の可能性が高いです。

しかし、残念ながら、これらの方法でも初期の虫歯を見つけるのは難しい場合があります。歯科医院の定期検診でレントゲン撮影を行うなどして、歯科医師に診てもらうことがベターです。

虫歯は自然に治ることはなく、放置すると進行して治療も難しくなるため、心当たりがある方は早めに受診しましょう。

虫歯の早期発見に役立つバイトウイング(咬翼法)とは?

当院では、目では見えない歯と歯の間の虫歯を発見するために「バイトウイング(咬翼法)」と呼ばれるレントゲン撮影を行っています。

バイトウイングは、上下の歯を噛み合わせた状態で撮影するレントゲン方法です。この撮影法を使うことで、歯と歯の接触している部分を詳しく確認できるため、隣接面う蝕を早期に発見するのに非常に効果的です。

こちらのレントゲン画像をご覧ください。赤丸で示した部分が虫歯です。

このように、バイトウイングを使うと隠れた虫歯を正確に見つけることが可能です。

特に、初期段階の虫歯や目視では確認できない部分の虫歯を発見できることが、この方法の大きな特徴です。

ただし、バイトウイングを導入している歯科医院は限られており、どこの医院でもできるわけではありません。

早期発見により、虫歯の進行を抑え、治療の負担を軽減できるため、当院の定期健診とバイトウイング撮影をぜひ活用してください。

歯と歯の間の虫歯の治療法とは

歯と歯の間にできた虫歯の治療法は、虫歯の進行具合によって異なります。

虫歯が歯の表面のエナメル質や内側の象牙質まで進んでいる場合は、虫歯の部分を削り取って、プラスチックの詰め物をするのが一般的です。

しかし、歯と歯の間は狭いため、そのままでは削ったり詰め物をしたりするのが難しい場合があります。そこで用いられるのが「セパレーター」という道具です。これは、小さなリングを歯と歯の間に挟んで、一時的に隙間を広げるためのものです。

セパレーターを使った治療の流れは、まず歯と歯の間にセパレーターを挟み込み、そのまま数日間過ごして1mm程度の隙間を作ります。この過程で少し痛みを感じるかもしれません。

そして、広がった隙間から虫歯を削り取り、詰め物をして形を整えます。広がった隙間は1~2日ほどで自然に戻ります。

セパレーターを使わずに治療を行うと、歯を大きく削る必要が出てくる可能性があります。そうなると詰め物も大きくなり、外れやすくなったり見た目が悪くなったり、歯が脆くなるリスクがあります。

しかし、残念ながら全ての歯科医院にセパレーターが常備されているわけではありません。歯と歯の間の虫歯治療を受ける際は、事前にどのような治療方法で行うのか歯科医師に確認しておくと安心です。

ただし、虫歯が大きくなっている場合は、「インレー」と呼ばれる詰め物を使うこともあります。これは、歯型を取って作るオーダーメイドの詰め物です。治療完了までに少し時間がかかりますが、セラミックのものを使用すれば自然な色合いを再現できます。

さらに、虫歯が神経まで進んでしまっている場合は、神経を取り除く治療が必要になります。その後は、歯全体を覆う被せ物が必要です。

どのような治療になるかは、虫歯の進行具合によって変わってきます。不安なことは、遠慮なく歯科医師に聞き、納得した上で治療に臨みましょう。

まとめ

歯と歯の間の虫歯(隣接面う蝕)は、気づきにくく進行しやすい厄介な虫歯です。早期発見・早期治療が大切ですが、自分自身で見つけるのは難しい場合もあります。

日頃からフロスや歯間ブラシを使って丁寧にケアし、定期的に歯科検診を受けるようにしましょう。気になる症状がある方は、早めに歯科医院を受診してください。

【関連ページ】