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親知らずの違和感、放置は危険? 親知らずの生え方や抜く・抜かないの基準を解説

親知らずに何となく違和感を覚えつつ、「でも、抜くのはちょっと・・・」と歯医者さんに行くのを先延ばしにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、その親知らずも生え方によっては早く抜いておいたほうが、後々に起こるトラブルを回避できます。ここでは、親知らずの生え方やそれによって起こりやすい症状、さらに親知らずの抜く・抜かないの基準などを解説していきます。

親知らずの生え方の種類

親知らずは前歯から数えて8番目、一番奥に生えてくる大臼歯(奥歯)で、正式名を「第三大臼歯」または「智歯(ちし)」といいます。生えてくる時期は10代後半から20歳前後にかけてで、親が知らない間に生えてくる歯であることから「親知らず」と呼ばれているようです。

親知らずは上下左右の計4本が本来の数ですが、なかにはもともと親知らずのない方もいらっしゃいます。また、仮に親知らずがあっても生えてくるスペースが足りず、真っすぐに生えてこられない親知らずも多くあります。親知らずによくある生え方のパターンは次の3通りです。

①親知らずが真っすぐに生えている

②横向きや斜め向きに生えて、歯冠(頭)の一部だけが歯ぐきから出ている(半埋伏:はんまいふく)

③親知らずが骨の中に埋まっていて、肉眼では確認できない(完全埋伏:かんぜんまいふく)

親知らずが引き起こす症状

他の永久歯に比べ、親知らずは以下のような症状のリスクが高くなります。

歯ぐきの腫れ・痛み(智歯周囲炎)

親知らずは歯ブラシが当てにくいうえ、横向きや斜め向きに生えているものは細かいすき間や凸凹に汚れがたまりやすいことから、たびたび周囲の歯ぐきに炎症を起こします。専門的にこの炎症は「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれ、重度になると顎のあたりが大きく腫れたり、激しい痛みを伴ったりすることがあります。

虫歯・歯周病

汚れのたまりやすい親知らずは他の永久歯よりも虫歯や歯周病になりやすい傾向があります。さらに問題となるのは、親知らずに隣接する永久歯にもその影響が及んでしまうことです。実際、親知らずが原因で手前の歯が大きな虫歯になり、最悪なケースでは歯が残せなくなる(抜歯になる)こともしばしばあります。

口臭

親知らずの段差や細かいすき間にたまった食べかすを歯ブラシでうまく取り除けない場合、その食べかすが腐敗して強い口臭を引き起こします。

歯並びのズレ

スペース不足で親知らずがうまく生えてこられないケースでは、その親知らずが他の永久歯を圧迫して歯並びにズレが生じてしまうことがあります。とくに、大人の方が矯正治療を行う場合は治療後の「後戻り」の原因になりやすいことから、正しく生えてこられない親知らずに関しては治療前に抜歯をすすめています。

抜いた方がいい場合と抜かなくてもいい場合

親知らずは絶対に抜かなくてはダメ?

親知らずは必ずしもすべてのケースで「抜歯」となるわけではありません。親知らずを抜いたほうがいいのか、抜かなくてもいいのかは以下の基準に照らしあわせて判定していきます。

親知らずを「抜いたほうがいい」ケース
  • 親知らずがすでに虫歯・歯周病になっている
  • 親知らずがうまく磨けず、いつも汚れが溜まっている
  • 親知らずが横向きや斜め向きに生えている
  • 親知らずの腫れや痛みを繰り返している
  • 親知らずが他の永久歯を圧迫して、歯並びが悪くなる可能性がある
  • 上下の親知らずの一方は正しく生えているが、もう一方がうまく生えてこない(上下で噛んでいない)
親知らずを「抜かなくていい」ケース
  • 親知らずが上下とも真っすぐに生えていて、食べ物が噛める
  • 親知らずに歯ブラシがきちんと当てられ、清掃状態が良好
  • 将来的に入れ歯やブリッジの支台に使える可能性のある親知らず
  • 親知らずが完全に骨に埋まっていて、この先もトラブルを起こす可能性が低い

親知らずを抜くならどのタイミングがいい?

先の抜歯基準で「抜いたほうがいい」と判定できる親知らずに関しては、年齢が若いうちに抜いておくことをおすすめします。

抜いたほうがいい親知らずで今後問題になるのは、他の永久歯への影響です。隣り合う永久歯が虫歯や歯周病になる前に、そのリスクを減らしておくほうが将来的にメリットは大きいでしょう。

また、若いうちは回復力が高いので、抜歯後の傷の治りが早いのも大きな利点です。反対に40代、50代になると回復力が弱まるので、20代、30代のうちに抜いておくほうがベターでしょう。

親知らずの抜歯には保険が適用できる?

親知らずの抜歯には保険が適用できます。生えている向きや状態によって費用は異なりますが、おおまかな目安は1,000円~3,500円前後です(3割負担の場合/検査費やお薬代は別途)。

まとめ

永久歯の中で一番最後に生える親知らずは生えてくるためのスペースが不足しがちで、横向きや斜め向きのままうまく生えてこられないものが多くあります。このような親知らずは放置しておくと歯ぐきの腫れや痛みを繰り返すほか、隣り合う永久歯にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。20歳を過ぎたらレントゲン検査で自身の親知らずの様子をチェックしてもらい、必要に応じてできるだけ早い時期に抜歯を検討することをおすすめします。

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